2007年7月24日

ある意味攻撃的な建物




街の所々に突如現れる古代の遺跡。

ルネサンス・バロックなど教会やVillaはローマのあちこちに、少し歩くだけで観ることができます。

そんな、時々時が止まったかのような錯覚さえ起きるこの場所にも、
ここ数年の間にいくつかの現代建築が建設されています(もしくは建設途中)。

ザハ・ハディドの現代美術館、
レンゾ・ピアノのAuditorium、
そして去年完成したリチャード・マイヤーのアラ・パチス博物館・美術館。
このアラ・パチス博物館が、古代都市ローマで一年たつ今でもかなりの物議を醸しています。
いろんな人と話す機会があって興味深かったので、ちょっとここに。。

アラ・パチスは、もともと初代ローマ皇帝アウグストゥス帝により作られたローマの平和を祝う祭壇。
この2000年以上も前に建てられた祭壇を一部として取り込んだのがリチャード・マイヤーのアラ・パチス博物館。
祭壇を展示の一部としつつ、美術作品を展示してます(現在はValentinoの45周年回顧展)。


この博物館をデザインしたリチャード・マイヤーはアメリカ生まれ。
彼のスタイルはル・コルビュジエから影響を受けた、白を基調とつするインターナショナルスタイル。
彼の他の建物にも見られるように、このアラ・パチスも白とガラスの典型的なものです。


比較的新しい建物もレンガ、大理石、などで建てられるローマで、まだこんな建物は観たことありません。
とくに古い建物に囲まれているエリアなので、異様といえば異様です。

アラ・パチスのためのショーケースのような感じで、中から見るよりも外から見ている人たちのほうが多かった。。

私の目からしても異様だったので、ここ数週間の夕食の時間、何人かに感想を聞いてみた。
A:きれいだから好き
B:ひどかった。周りの環境になにもレスポンスがないし、コンテクストもない。
C:ただのショッピングモールのよう。すべてを無視している。ローマの恥だ。


だいたい上のような答え(とくにBとC)が多かったです。
とくにイタリア・ローマに住んでいる人たち(ローマ人含む)は、
この建物について話しているとだんだんと語調が荒くなり、感情的になっていくのが印象的でした。


涼しい顔をして真っ白な光を周囲へ反射させるこの建物。

まだまだ議論は続きそうです。

Ara Pacis Museum
Richard Meier (wiki)

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